1年間、大地の恵みをいっぱい受け、元気に育ったオリーブたち…。いよいよ収穫、オリーブの実が運び込まれた作業場と搾油場では、オリーブの香りが立ちこめます。
いい『Olive Oilづくり』は、いいオリーブの実の収穫ができてのこと、1年間のほとんどが『オリーブづくり』です。高尾農園のオリーブ畑で、収穫したオリーブの実がどのようにオリーブオイルになっていくかを、少しではありますが、このページにて説明させていただきます。
オリーブの実を収穫するとすぐに作業場(選果場)に運び込み、葉っぱや枝などの不純物を取り除き、搾油場へと運び込みます。オリーブの実は鮮度が大切で、樹を離れてからオリーブオイルになるまでのスピードを大切にしています。そのため収穫した実は、その日のうちに搾油することを基本として、遅くとも翌日の午前中に搾油しています。
そして作業においては、一度動かし始めた搾油機は一時停止ができないことから、オリーブ畑での収穫量やオリーブの実の状態など、畑と連絡を取りながら搾油機を動かし始める時間を決め、動かし始めたらオリーブの実を途切れることなく搾油機へ投入していきます。このようにオリーブ畑と搾油場の連絡を密に行うことで、収穫した実はその日のうちに搾油ができるよう努めています。
オリーブの採油方法では、圧搾法、遠心分離法、パーコレ-ション法がありますが、高尾農園では遠心分離法で採油しています。
収穫
果物や野菜など農産物に美味しい旬があるように、オリーブにもそれぞれの品種で美味しい旬があります。その旬を見逃さないため、収穫初めの日を決め、収穫中、実の様子を見ながら収穫最終日を決めていきます。また雨天の翌日など、雨量により収穫を中止するなど、天候の様子によって実の状態を考えています。
収穫方法は、すべて手摘みで行っています。収穫した実は、温度の上昇、実の潰れなど、オリーブの実を傷めることがないように風通しの良いコンテナを使い、たくさんの実を入れないように気をつけています。また、オリーブの実が土と接触しないよう、直接地面とつかないように工夫しています。
選果(選別)と洗浄
収穫したオリーブの実は、葉っぱや枝、病果(炭疽病)などの不純物をきれいに取り除きます。葉っぱがオリーブの実と一緒に搾油機に入ってしまうと、葉っぱの香りや極端な苦み、渋みなど欠陥のオリーブオイルになってしまうからです。そして、水できれいに洗浄し搾油機へ投入していきます。
選果前の実 選果中の実 選果中の実 粉砕機へ入る前の実
粉砕
オリーブの実を砕いていきます。粉砕方法は電気モーターで回すナイフ式を使い、モーター周りにグリッドとよばれる沢山の穴のあいた器具がついていて、その小さな穴よりペースト状になったオリーブが出てきます。グリッドの穴のサイズは4㎜と6㎜の2種類があり、オリーブの品種や熟度、水分量など実の状態を考えながら、どちらのグリッドが向いているか判断し使い分けます。この2㎜の差を間違うことによって、水分量が多い実では乳化したり、粉砕時の温度が上昇したりなどが生じるので、この2㎜の差の判断が大切なのです。
搾油前の洗浄 粉砕器へ入る実 破砕機への送り機 グリッドとナイフ
撹拌
ペースト状になったオリーブの実は、撹拌槽へ入ります。撹拌槽に入ったオリーブのペーストは、プロペラに似た器具をゆっくり回転させることで油分と油分をくっつけていく行程です。撹拌中は温度が27℃以上に、また18℃以下にならないようにして、撹拌時間はその日の実の状態やペーストの状態によって20分~45分としています。温度を高くし、撹拌時間を長くすると搾油できるオリーブオイルの量は増えますが、焦げた味や煮詰まった味、キャラメル味などの欠陥のオリーブオイルになってしまう可能性があるから注意が必要です。
搾油機操作スイッチ 水分の少ないペースト 水分の多いペースト 分離を始めたオイル
遠心分離
適切な撹拌を終えたオリーブのペーストを、撹拌槽から遠心分離器へ送り込みます。遠心分離器は、オリーブオイルと果肉・果汁の2つに分かれる2フェーズ式(2相式)になっており、高速で回る遠心分離器の中では、比重差で外側から果肉、果汁、オイルに分離されます。遠心分離器の調整で難しいのが、オイルを抽出するための2カ所についているノズルです。このノズルを差し込みすぎるとオリーブオイルが少ししか取れず、また反対に引きすぎると果汁の多く濁ったオリーブオイルになってしまいます。ノズルの調整は、オリーブの品種やその時々のペーストの状態を見ながら、専用工具を使い手作業で0.25㎜の単位で、一番いい状態でオリーブオイルが搾れるよう、頭の中で遠心分離機器の中の果汁やオイルの分離状態がどうなっているかを想像しながら行います。
オペレーション・ルーム 遠心分離器 遠心分離器調整ノズル 遠心分離器内部
濾過と保存
搾りたてのオリーブオイルは、細かな澱(果肉や果皮、果汁など)が残っており不透明です。濾過せずにその澱の入っているノンフィルターオリーブオイルは、そのまま食べても美味しいのですが、日がたつにつれ不純物である澱の劣化で味が悪くなっていきます。そのためフィルターにかけて濾過していきます。濾過は、最新式のステンレスフィルターとペーパーフィルターを使います。繊細な注意を払い濾過していくことにより、光輝くオリーブオイルになるのです。
濾過したオリーブオイルは、品種ごとにステンレスタンクへ入れ、初秋の高温期は17℃以上に、晩秋の低温期は13℃以下にならないように温度調整しながら暗室保管室で保管します。
搾油機から出てくるオイル オイルの状態を確認 濾過後のオイル 抽出用ステンレスタンク
瓶詰め
すべての実を収穫、搾油し終えたら瓶詰を行います。搾油期間中に保管したステンレスタンクを1本ずつ開封し、それぞれのオリーブオイルに欠陥はないか、風味はいいかなどをテイスティングしていきます。
濾過後の保管までは高尾農園の搾油場で行っていますが、瓶への充填は食品製造会社(株)髙橋商店さんへ委託しています。オリーブオイルと大型ステンレスタンクを同時に運び、充填室へ到着したら充填室や充填機の香り移りがないかなどを委託先の方と一緒に確認し、品種ごとに大型ステンレスタンクに移し、一斉に瓶に充填していきます。
オリーブオイルは、同じ品種でも、果実の色の割合や収穫前の雨量などその日その日で微妙に味は違い、初秋(収穫初め)と晩秋(収穫終り)では色や風味も違っています。そのため、オリーブの品種ごとに大型タンクに移すことで高尾農園のオリーブオイルの味の均一化を行った上で、一斉に充填していきます。
オリーブオイルを充填する瓶は、透明瓶を使っています。オリーブオイルの敵は、光と熱と空気ですが、手にとって頂いたときのオリーブオイルの色の感動をお伝えしたく、あえて透明瓶に充填しています。お手元に届きすぐに使わない場合は、アルミホイルなどで遮光して、開封後はできるだけ早く使っていただけるようお願いします。
瓶詰め前のオイル 瓶詰め作業中① 瓶詰め作業中② ラベル貼り
GFSI承認ASIAGAPの認証(国際基準の安全安心な生産の認証)
高尾農園では安全安心な生産を行っており、国際基準の一つであるGFSI承認ASIAGAPの認証を得ました。
詳細は国際基準に沿ってページをご覧ください。