美味しいオリーブオイルやテーブルオリーブスは、1年間のいい実をつくるオリーブづくりから始まります。毎日のオリーブ畑の農作業に緊張感を持ってオリーブづくりをしていきたいと考え、高尾農園のオリーブづくりを紹介させていただきます。高尾農園のオリーブづくりは、自然環境に配慮した安心で安全な元気で美味しいオリーブを育て、そしてオリーブ畑に関わるたくさんの農ふたち、1年間オリーブを楽しみに待っていただいているたくさんの方々、一緒にオリーブづくりの未来へつなげていきたいと思います。
観察と研究
常に観察と研究をしています。
オリーブ畑を見回り、オリーブの樹の間隔、オリーブの葉の色や厚さ、雑草などの状態、気温や降水量などを参考に、オリーブたちが元気に育つよう生長を手助けするだけではなく、土の状態も知り、施肥や灌水などを決めています。7カ所のオリーブ畑では、日当たり、風当たり、地下水位や土質などの条件は様々です。それらのことを考えながらオリーブづくりを行い、栽培方法など研究しています。また、年間の天候予測や季節の変わり目の予測などを太陰太陽暦(旧暦)を参考に月のリズムを使い、オリーブ畑の大まかな栽培計画や作業計画などを考え、日々のオリーブづくりに役立てています。
そして、これら日々の積み重ねと研究が経験や知識となり、昨年より今年、今年より来年と…確かなオリーブづくりの技術を培っていきます。
8月中旬果実の様子 葉と幼果の状態チェック 葉と成熟中の状態チェック 剪定枝堆肥化試験
草刈りと草
除草剤を使えば、楽なのですが…
「除草剤を使えば、どんなに楽だろう…!」と思いますが、年間4回の草刈りは、除草剤は使わず、手作業で草抜きをしたり、小型耕耘機(小型管理機)、ハンマーナイフモア、草刈り機を使っています。
刈り取った草は、そのままにしています。これは、土壌から吸収した養分をまた土壌に戻すためだったり、有機物の分解消失を防いだり、さらにはオリーブ畑には段々畑ののり面や斜面が多いので雨による浸食防止や雨水が急に流れないようにするためです。
また、草は根から水分を吸収し、葉から蒸発します。そのため、春雨・梅雨・秋雨などの雨の多い時期は、土壌の過剰水分を草にも吸収されるためわざと草をそのままにし、雨期のあとすぐに刈り取ります。特に真夏に向かう高温期には、オリーブの樹と草の水分競合が激しくなり、それを防ぐため急いで草を刈らなければなりません。この時期が一番労力を必要とし、暑さと草も元気よく体力勝負の時期でもあります。
幹の周りの草取り モアによる草刈り 草払い機による草刈り 真夏の草刈り
害虫と病気
大切なオリーブを守るために
オリーブ畑の周辺には、私たち人間を含め、たくさんの動物や植物が生きています。オリーブの樹を好物とする動物や虫がやってきます。コウモリ蛾・カナブン(コガネムシ)・はまき虫・オリーブアナアキゾウムシ・ケムシなどの幼虫類や鹿の食害、加えて炭疽病やしょうこ病などの病気による多少の被害は自然なことと考えています。
しかし、品種や時期によってオリーブの樹そのものに深刻なダメージを与え、場合によってはオリーブの実が全く収穫できなくなることもありえます。そうならないために、病害虫を発生しにくい環境になるように、草刈りや防草、剪定などいろいろな工夫しています。オリーブ栽培で使用できる薬剤は、8種類で合計年間25回使用できますが、高尾農園のオリーブ畑では、食害されるとオリーブの樹そのものが枯れてしまうオリーブアナアキゾウムシを防除するための薬剤を年間3回のみ使用する最低限としています。農薬取締法を遵守し、1年間ごとの防除歴を記録しています。
ハマキムシの食害 コウモリ蛾の食害 ゾウムシ幼虫の食害 炭疽病の研究
土づくり
オリーブたちを元気に保つために
土づくりに使用している肥料は主に、発酵鶏糞肥料・発酵牛糞堆肥・蛎殻肥料などの動物性有機物、油粕などの植物性有機物です。また、主にマメ科やイネ科の植物を利用した緑肥を試験しながら使用しています。緑肥は、畑に種を蒔き大きく育った植物を鋤込んで肥料にしたり、土壌改良や雑草を抑えるなどさまざまな効果があります。動物性有機物や植物性有機物を施したり、緑肥を作付けしたり、山野草を刈り取った草や根をそのまま残したりしています。オリーブの根は、酸素要求量が多いため、雨水の排水性を考るなど工夫をしています。そのため空気の流れを良くしてくれる有機物、土壌中の生物や微生物のことも考えながら土づくりをしています。
発酵鶏糞肥料の施肥 蛎殻肥料の施肥 土壌phの測定 緑肥、ヘアリーリッチ
剪定枝による堆肥作り 緑肥の育苗 ダイカンドラの種 緑肥、大麦播種
機械や道具の管理
オリーブ畑の仲間たち、、、
オリーブ畑に欠かせない昔から変わらない道具と近代の道具や機械は仲間!適正に管理し、大切に手入れをしています。例えば、剪定ばさみの刃を研いだり、使った鍬やスコップはきれいに洗ってから倉庫へ保管します。そして機械類では、オイルなどがオリーブ畑に混入することがないように十分に点検し、使用中も注意しています。燃料の節約はもちろんのこと、バイオディーゼル燃料を利用するなど排ガスの低減に努め環境に配慮しています。
草払い機 剪定と収穫用の脚立 剪定ハサミとノコギリ 計測機器
オリーブ畑の栽培日誌と栽培記録
現在、オリーブ畑は7カ所とオリーブの苗保育場1カ所あります。栽培するそれぞれのオリーブ畑をさらに区画に分けて圃場番号をつけています。栗木谷オリーブ畑(№A~K、№1~8、№11~15の24区画)、常楽防オリーブ畑(№1~8、№10~12の11区画)、山の神オリーブ畑(№1~2の2区画)、仲休オリーブ畑(№1~6の6区画)、浜オリーブ畑(1区画)、寺の下オリーブ畑(1区画)、西の谷オリーブ畑(1区画)、梅オリーブナーサリー(1区画)の区画に分け、毎日の作業内容と作業時間を作業日誌と栽培記録に残し、オリーブづくりの栽培履歴が確認できるように記録を残しています。
作業内容と時間の記録 作業日記へ記録 間剥離試験と研究 収穫直後のオリーブの実
オリーブづくりの日々やオリーブ畑の様子など「オリーブ畑の日記」や「Facebookファンページ」で、ご覧いただければ幸いです。
(2015年2月)
GFSI承認ASIAGAPの認証(国際基準の安全安心な生産の認証)
高尾農園では安全安心な生産を行っており、国際基準の一つであるGFSI承認ASIAGAPの認証を得ました。
詳細は国際基準に沿ってページをご覧ください。